自分の血液で絵を描く理由とアートの意味【Vince Castigliaヴィンセントキャスティグリア】
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アート┃
Vince Castiglia, ヴィンセント・キャスティグリア┃
コメント(3)
自らの血液を使って絵を描くというアートがあることをご存知でしょうか?
よく「この作品は血と汗と涙の結晶だ!」なんて言ったりしますが、血液で描いた作品はまさに“血”の結晶なわけです。
自らの血液で絵を描き続けているアーティストに、ヴィンセント・キャスティグリア(Vince Castiglia)という人がいます。
彼はニューヨークのヘルズ・キッチン出身の画家で、10年ほど前から血液絵画を描いています。
彼の作品をいくつか紹介します。(クリックで拡大できます)
出典:Vince Castiglia Facebookページ
まるで悪魔の描いた絵のよう。
まさか血液で描いたとは思えないほど繊細な作品です。
メタルバンドのアルバムジャケやホラー映画のポスターに使われたこともあるようで、イメージ通りと言えばイメージ通り。
で、やはり気になるのが「自分の血液で絵を描く理由」。
一体血液で絵を描くということに、どのような意味があるのだろうか?
ぶっちゃけた話をすると、赤い塗料で描くのと何が違うのか、ということです。
以前、嘔吐アートの記事(レディガガ×吐く画家の嘔吐アートに批判殺到)を書いたときに、似た感覚のアートの例として血液絵画を出しました。
その記事で僕は嘔吐アートについて、生きている人間にしかできないペインティングをすることで“生”の宿った作品ができるんじゃないか、と考えました。
おそらく血液アートも似たような感覚なんじゃないかと思っていたわけです。
するとあるVince Castigliaさんについての記事(odditycentral.com)に、彼が「なぜ自分の血液で絵を描くのか」ということについて書いてありました。
記事によると、「In order to better “dissolve the barrier between art and artist”」らしいです。
つまり、「アートとアーティストとの間の壁をとっぱらうため」だというのです。
「アートとアーティストの壁をとっぱらう」ということは、逆に言えば「アートとアーティストを一体化する」ということ。
「アーティストにアートが一体化する」というよりは、「アートにアーティストが一体化する」と言ったほうが正しそう。
例えば、一般に販売されている塗料でキャンバスにいくら素晴らしい絵を描いたとしても、完成した作品は所詮「キャンバス」と「塗料」を組み合わせたもの。
そこにアーティストは入っていないじゃないかと。
ならばアーティストの生身をアートに使えば、アーティストが一体化したアートができるじゃないか。
…こんな感じなんじゃないでしょうか。
血液で絵を描くアートは、「アートにアーティストが一体化する」というものですが、その反対の「アーティストにアートが一体化する」は、まさにタトゥーがいい例だと思います。
上に貼った写真を見ればわかると思いますが、Vince Castigliaさんも首にみっちりタトゥーが入っています。
さすが「アートとアーティストの一体化」を目指しているアーティストです。
僕は自分の血液を使って絵を描こうなどと思ったことがないので、Vince Castigliaさんが血液絵画によって何を表現したいのか、ということは完全には理解できません。
しかし今回Vince Castigliaの血液アートの意味を考えたことによって、「なるほどそういう考え方もあるのか」と、また新しい視点を1つ学ぶことができました。
理解できないアートは世界に山ほどありますが、みんな何かしら表現したいことがあるからアートをしているんですよね。
表現を理解しようとする気持ちは、常に持っていたいと思っています。
『自分の血液で絵を描く理由とアートの意味【Vince Castigliaヴィンセントキャスティグリア】』へのコメント
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名前:勝手な評論家 : 投稿日:2015/04/07(火) 03:37:31
日野日出志の地獄変を思い出した。
塩酸を呑んで吐いた血で絵を描いてたから嘔吐アートと一石二鳥だな。 -
名前:うんぽこ : 投稿日:2018/08/29(水) 15:53:02
うんち
髭もアートですね。